ネット販売のメリットはニッチ商品を届けられるところ

新型コロナウイルスの広がりをきっかけに
巣ごもり需要と言われる消費が伸びました。
おいそれと出かけられない状況だから
自宅で楽しめるものにお金を使おうというわけです。

農業界はこれに大きな影響を受けました。
とくにプラスに作用したのがネット通販でしょう。

古くからあるオイシックス・ら・大地はもちろん
ネットスーパーが異常に成長しました。
Amazon、楽天、Yahoo!、Payモール、メルカリなど大手ECもウハウハ状態。
そして農家のネット直販をまとめあげたポケットマルシェや食べチョクが
販売規模を数十倍に膨らませる急成長を遂げています。

スマホが普及しきった今では、
インターネット通販に抵抗感のある人は少数で
若者からシニアまでほぼ全年齢層で
気軽にポチポチ買い物ができるようになっています。

そんな時代の流れから
「おれもネットで農産物を売ってみようかな」
と考える農家は少なくないと思います。
危機を乗り越えるという意味でも
販売チャネルを増やすという意味でも
挑戦することはいいんじゃないでしょうか。

ただしうまくいくにはいくつかポイントがあります。
いや、ポイントは山のようになるんですが
ネット参入で絶対に知っておいたほうがいい
本質的なポイントについて2つだけお伝えします。

1.時代の流れ

インターネットの世界は流行り廃りがすごく早いです。
ネット業界と農業界ではウサギと亀ほど
スピード感に違いがあります。
いまはメルカリがアツい!
ポケットマルシェでめっちゃ売れてます!
といってそこで農産物を売りまくっていても
1年後にはブームが去って売れ行きが悪くなるなんてザラにあります。

ホームページをつくって販売カートを用意しても、
スマホ画面で見やすいよう対応したり
なんとかPay決済ができるようにしたり
SNSで人を集めてこないとホームページ単体では
集客が難しくなったり。

インターネット上での人の流れは短期間で大きく変わってしまうので
いまどんなものが流行っているのか、
自分のお客さんはどんなサービスを利用しているのか、
逐一チェックしておかないと
継続して販売し続けるのは難しいです。

とにかくネット業界は動きが早い。
これは大前提で押さえておくべきポイントでしょうね。

2.差別化がカギ

地域密着で地元の直売所やスーパーで売っていれば
その地域の農家がライバルになりますよね。
他産地との競争になることもありますが、
地域で一番になれば取引は意外に
なんとかなるものです。

でもネットの世界は違います。
物理的な距離が関係なくなるので、
商圏が日本全国に広がるんです。
愛知県で農業をやっていても
北海道や沖縄から農産物を買ってくれることも
現実的にはありえる話です。

愛知県豊田市40万人を相手にする商売から
日本国民1億2千万人を相手にする商売へと
変わるのがネットのすごさです。

ただし、
手放しに喜べないのは、
商圏が広がった分ライバルも増える点でしょう。
地元で一番になればよかったところから
全国的に目立つ存在にならないと売れないステージへ
まったく違う土俵で戦うことになります。
10人中1位を取るのと
1万人中1位を取るのとでは
ハードルの高さがケタ違いです。

とはいえ、
もし1万人中1位を取っちゃうと販売量が
えげつないほど増えることになるので、
自分の経営規模に合うだけのお客さんがいれば
それで充分ですよね。

これってニッチを攻められるのに等しいんです。

すごく尖ったこだわりの農産物を、
そのマニアックな商品が欲しい人に届ける。
そういうことができるのがネット通販なんですよ。
豊田市40万人のなかには10人しか買ってくれる人が
いなさそうなマニアック商品でも
ネットを使うと3000人にアプローチできる。
それが成立する世界なんです。

小さな農家がインターネット通販をするなら
ニッチな尖った農産物こそ有効です。
ほかの農家との競争になりにくく
地元で売りにくいモノでも売れる。
ものすごくこだわったものを
それを認めてくれるお客さんに
高い値段でも買ってもらえる。
農家のネット通販は色々と尖っているほうが
効果的に働くことが多いです。

時代の流れと差別化。
この2点を意識してみてはいかがでしょうか。

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