先日の記事で、熱が出てフラフラするくらいだったら
頑張れ!
という話をしました。
お客様にご迷惑がかからないように頑張るのは当然だ、サラリーマンだってそれくらいのことを当たり前のようにやっている。
という内容です。
今回は。
熱が出てフラフラ、といったレベルではなく動けない状態、仕事ができないくらいの危機に襲われたときにどう対処するのかについて書いていきます。
危機管理についての話になりますので、就農前もしくは研修中では実感が湧かないと思いますが、将来農業を始めたときには参考になるはずです。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
長期休業を余儀なくされたときの対策
自分が倒れたときには事業そのものが動かなくなる、それが自営業です。
ちょっと熱が出た。
持病を治すために数日間入院する。
これくらいであれば自営業だったら当然のように頑張ります。
熱でふらふらしていても、気合いでなんとかします。
農家にかぎったことではなく、他の自営業でもサラリーマンでも同じです。
みなさん頑張っているんです。
でも。
足を骨折して1ヶ月は松葉杖生活になる。
とか。
ガン治療で長期入院が必要。
とか。
どうにもこうにも仕事をするのが無理なときって、誰にでも起こりうることだと思います。
農業は肉体労働が基本です。
体を動かせないと仕事にならないですし、そうじゃなくても長期不在を余儀なくされるとどうすることもできません。
自分ひとり、もしくは夫婦ふたりでやっているような小さな農業。
働けないのは致命的です。
こんなとき、どうしたらいいでしょうか。
長期離脱をなんとかする対策は4つ。
もっとあるかもしれませんが、今回は4つご紹介します。
1.あきらめる
折れちゃったもんはしょうがない。
病気になっちゃったんだからしょうがない。
と素直に受け入れるという方法があります。
長い人生どんなことがあってもおかしくありません。
不慮の事故、突然の病気発症。
順調にこなしていた仕事が途切れてしまうこともあるでしょう。
そんなときは「人生そんなもんだ」と達観してみるのもひとつの手です。
ただし。
この場合はお客様に迷惑がかかります。
そして。
じゅうぶんな蓄えを用意しておく必要があります。
半年なのか一年なのか、それ以上なのか分かりませんが長期戦線離脱してもしっかりと生活していけるように、金銭的な不安をなくすだけの貯蓄が必要です。
2.無理矢理がんばる
お客様にご迷惑をおかけするわけにはいかない。
自分の農産物を待ってくれている人たちがいる。
替えのきかない存在である自覚と、プロとしての自覚。
どんなことがあっても、ふつうなら無理でしょという状況でもなんとか仕事をこなそうとします。
片足でもできることはあります。
片手でもできることはあります。
最初からできないと決めつけていたら何も動かすことはできません。
やれることをやる、そういう努力は必要でしょう。
ただし限界もあります。
事故で入院生活、病気で入院生活、といった強制的に仕事ができない環境に置かれてしまうとどうすることもできません。
無理しようにも物理的に不可能、という状況はじゅうぶんに考えられます。
なにしろ身体が資本ですから、その身体が動かないのは致命的なんです。
なにがなんでも頑張る、という意気込みは大事ですが、
無理なものは無理
という状況は想定しておく必要があります。
3.保険をかけておく
農業、自営業といった分類に関係なく、みなさんなにかしらの保険に加入していると思います。
健康保険はもちろん、病気やけがに対する保険、死亡や障害に対する保険、地震保険や火災保険、自動車保険など。
世の中にはありとあらゆる保険がそろっていて、将来に不安を感じる人がそれぞれの状況にあわせて必要だと思われる保険に加入しています。
だから病気やけがに備えるという意味では、保険に加入するのが一番の対応策だといえます。
そして農業にももちろん保険は存在します。
災害が発生したときに共済金の支払いを受けて農業経営を守るという共済保険があります。
仕事中の事故によって怪我をしてしまったとき、休業補償を受けられる労災保険があります。
ただし。
保険が守ってくれるのは金銭的な部分であって、仕事が途切れてしまうことには変わりありません。
もちろんお客様には迷惑がかかります。
それまで定期的にご購入いただいていたお客様へ商品を発送できない。
そういったダメージはけっこう大きいです。
生活の安定、不測の事態への備えという点で保険制度は素晴らしいものですが、さすがにだれにも迷惑をかけずにやりすごすことは難しいですね。
4.従業員を雇っておく
お客様に迷惑をかけることなく長期休業を実現するには、従業員を雇うしかありません。
正社員とはいかなくても、パートやアルバイトを雇ってふだんから経営していれば、もし経営者自身が倒れて戦線離脱してしまってもある程度は仕事が進んでいきます。
もちろん経営者が業務に大きく関わっていればパート・アルバイトにしわ寄せがいくので迷惑をかけてしまいますが、出荷を続けられるならお客様にご迷惑はかかりません。
もちろん。
パート・アルバイトとはいえ雇用ができるほどの経営規模にしておく必要があるので、就農後数年のうちは難しいかもしれません。
でも頭に入れておく価値はあると思います。
備えあれば憂いなし
4つの対策のうち、自分が倒れても仕事がちゃんと進むのは従業員を雇う場合だけです。
そのほかは個人事業の宿命というのか、自分が倒れてしまった時点で事業も止まってしまいます。
そこを割りきれるかどうか。
ふだんからある程度の覚悟を持っていられるか。
気持ちの整理が必要になってきます。
病気や怪我は突然やってくるものです。
備えあれば憂いなしとは言いますが、いまの自分ができる範囲で備えておくことが大事ではないでしょうか。
多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?
たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。
このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。
有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?
有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。
「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」
と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、
有機農業はちゃんと稼げる
ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。
ただし、条件があります。
それは・・・