以前に書いた記事の中で、
100冊くらいは読んでから就農しなさい!
というニュアンスで発言していますが、いったいどんな書籍を手に取ったらいいのか分からない方へ。
覚悟を決めて農業で生計を立てていくと考えているのであれば、まず最初に読んでほしいお勧めの書籍があります。
農業をビジネスとしてしっかりとらえつつも、小さな農家としてやっていきたい人にお勧めの書籍です。
個人経営の小規模農業をされるのであれば、必ず読んでおきたい一冊といえます。
参考にしてみてください。
農で起業する!とはどんな本か
著書は杉山経昌(すぎやまつねまさ)氏。
外資系大企業の営業統括本部長をつとめていたサラリーマンが、20年以上勤めた会社を辞めて農業の道に進んだ実体験をもとに書かれている書籍です。
宮崎県綾町でぶどう農園を経営し、週休4日の悠々自適な暮らしをするに至ったノウハウをわかりやすく説明しています。
脱サラ新規就農を考えているのであれば、必ず目を通しておいてほしい書籍だと言えます。
合理的にかつ理論的に農業経営を考え、経験と勘に頼っている農業ではなくデータによる分析から科学的に効率的に経営を実践しています。
非常に合理的で、
ここまでやらないと成功できないのか!
と、真似するのは無理だと思わせるような内容もありますが、経営に関しての考え方は非常に参考になります。
「快適、かっこいい、金が儲かる」
という3K農業をおもしろく伝えている本書は、まさに新時代の幕開けを予感させてくれます。
農業経営のコツを杉山流にわかりやすく書いてあるので、経営を学んだことのない人にもサクッと読めますし、いちおう農業書ですが経営書としてもじゅうぶん耐えられる内容になっています。
本書の中でもとくに印象的なのが、
収入に対する時給3000円、収益に対する時給2000円、年間労働時間夫婦で3000時間という基準をもうけた「3・2・3ガイドライン」です。
900万円の売り上げから経費を引いて600万円が収益として残る。
それを年間労働時間夫婦で3000時間におさえて達成する。
というようなことを決めたガイドラインです。
朝から晩まで家族総出で働いて、それでもたいした収入にならない農業の世界において、余裕をもった時間管理をしながら欲しいだけの収入を得る。
そんな大それたことをさらっと書いているので、私がこれを読んだときには大きなショックを受けたことを覚えています。
3000時間働いて600万円の利益を得る、つまり時給にして2000円かぁ・・・。
すげぇなぁ、と感心した記憶があります。
その当時、私は新規就農1年目。
赤字経営をしていたころです。
就農して10年をすぎた今となっては、「3・2・3ガイドライン」は雲の上の目標ではなくなってしまいましたが、新規就農者にとっては非常に参考になる指標だと思います。
農業をビジネスとして考えられる人であれば、共感できるところや参考になるところが非常に多い書籍です。
本当に100冊くらい農業関連本を読むつもりであれば、まず最初に読んでほしい良書としてお勧めします。
多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?
たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。
このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。
有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?
有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。
「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」
と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、
有機農業はちゃんと稼げる
ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。
ただし、条件があります。
それは・・・