マスターベーションの恐怖 農産物に点数をつけるのは顧客

栽培がしたくて農業に興味を持つ人は多い。
これは事実です。
もちろん生産は大切。
農業においては柱になる重要な活動だし、これをおろそかにすることは離農に直結する危険をはらんでいます。
でも。
だからといって、栽培ばかりにどんどんのめり込んでいくのはやめたほうがいい。
職人のようにこだわりを追求していって、最高品質のものを作りあげるのは楽しいでしょう。
それがやりたくて農家になった、その気持ちは分かります。
でも、こだわるときには注意が必要です。

どこまでこだわるのかをしっかりと線引きしなければ、最終的にたどり着くのは
情熱大陸か
稼げないただの仙人か
一か八かの賭けになってしまいます。

こだわり方を考える、こだわる方向性を定める。
そのような、こだわりへのこだわりが必要になります。
というわけで今回は。
栽培への強いこだわりについて書いていきます。

 

時計の精度はどこまで追究するか

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時計には精度があります。
時計には大きく3つの方式、
電波時計、クオーツ、機械式(自動巻き)
がありますが、もっとも精度が劣る機械式だと日差±3秒というようにそれなりに時間のずれが生じます。
これが水晶振動子を用いたクオーツ時計になると、精度の高いものだと1年で数秒程度のずれでおさまったりします。

もちろん使用者からすれば、時間のずれは小さければ小さいほうがいいですよね。
気づいたときには3分もずれていて電車に乗り遅れた、なんていやですから。
でも精度の高い時計は、価格もそれなりにします。
たとえば。
1年で10秒の狂いがある時計が1万円だとして。
同じ時計で10年で1秒しか狂わないよう精度を高めたものが10万円だったら。
あなたはどちらを買いますか?

もちろんその高精度時計を欲しい人はいます。
10万円を出しても狂いの少ない時計を求める人は、少ないながらもいるでしょう。
でも、10年で1秒ならじゅうぶんじゃないか。
同じ型の時計なら1万円のほうを買いたい。
そういう人のほうが圧倒的に多いのではないでしょうか。

ここで考えるべきことは。

精度を高めるというこだわりは、追究すればするほど、それを欲しがる人は減っていくということ。

私たちの生活でどこまで精度が求められているのかをしっかりと考える必要があります。

 

そして。
栽培でこだわりを追求すること自体は素晴らしいことですが、そのこだわりは誰のためになるのか、そのこだわりの行きつく先に購入者はどれくらいいるのか、といったことを考えなければ、ただのひとりよがりになってしまいます。
、が見えなければせっかくのこだわりは無駄になる。
自己満足に過ぎない、ということです。

 

職人がもてはやされる風潮

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日本人の気質なのか、他業界に多くいるように農業界にも職人タイプの農業者が多いような気がしています。

ストイックによいものを作るために栽培を追求。
自分の持ちうる時間をすべて栽培に注ぐ熱意。
お金じゃないんだよ、という美学。
ラクして稼ぐのは悪である、とお金を忌み嫌う姿勢。

このような職人が日本ではもてはやされます。
テレビ番組「情熱大陸」に出演できそうな、そんな人たちです。

もちろん職人としての心構え、姿勢を否定するわけではありません。
一途に高みに向かおうとする精神は称賛すべきものですし、栽培に対しての向き合い方は見習うべきものです。
でも。
ちょっと行きすぎていないか?
とも思います。

 

農業者は、仕事として農業をやっています。
しっかりとお金を稼いで、それで生活していくために農業を仕事にしています。
商品を作り、それを売ってお金に換える。
商売です。
そして、栽培は商品を作るための手段にすぎません。
その商品は誰のためにあるのか。
その商品を手にするのはどんな人たちなのか。
自分は誰の役に立つ商品を作るのか。
まず最初に、

自分の顧客は誰なのか

がスタートで、その顧客が満足するような商品を用意するために栽培にこだわる。
というのが順序としては正しいはずです。
ところが職人タイプの農業者はそれが見えていないことが多い。
とにかく高品質、高水準なものを育てたい。
自分が100点をつけたくなるようなものを育てたい。
そういう想いで栽培をしています。
そこにお客さんの顔がないんです。
100点をつけるのは買ってくれた人です。
自己評価にはなんの意味もありません。

職人を目指すのであれば、自己満足に陥らないように注意してほしいと思います。

 

マスターベーションの恐怖

風が吹けば飛んでしまうような小さな農家にとって、こだわりは重要です。
こだわるからこそ他の農家との違いを出せるし、大規模農業では拾えないような小さなニッチ市場を狙うこともできます。
メディアに拾われることで爆発的に知ってもらえることも、たまにはあるでしょう。
長く農家を続けていくなら個を強く打ち出していく必要に迫られます。
その一番わかりやすい方法が、栽培にこだわることだとは思います。
でもそのときに。
自分は誰のために栽培をしていて、そのこだわりによって購入者はさらに満足してくれるのか、自慰行為(マスターベーション)に陥っていないだろうか。
ということを常に自分に問いかけてみてほしいと思います。

 

 

 

多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?

たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。

このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。

それは・・・

有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?

有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。

「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」

と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、

有機農業はちゃんと稼げる

ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。

ただし、条件があります。
それは・・・

つづきはこちら

 

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