新規就農者が屋号をつけるときの3つの注意点

農業研修を受けて。
農地を借りて。
必要なら家も借りて。
当面の運転資金を確保して。
さあ新規就農だ!というときに、決めなければならない重要なことがあります。
それが屋号です。

自分はどのような名前で自分の農場を動かしていくのか。
どのような名前で販売していくのか。
スタートするときに屋号は必要になるものです。
とくに、自分で自分の農産物を売っていこうとするなら屋号は絶対に必要です。
今回は。
そんな屋号の付け方について書いていきます。

 

屋号は本当に必要なのか

ひとくちに農業といってもいろんな業態があるので、すべての農家にとって屋号が必要だというわけではありません。
農協に出荷するなど、農協の名前を使って商品が世の中に出回るときには個人を特定できなくてもいいので、屋号はなくても全然かまいません。
地元の直売所に行くと、地元の農家さんたちがせっせと収穫して運び込んでくる農産物がずらりと並べられています。
それらの商品のラベルには、ほとんどの場合で個人名が記載してあります。
これは、出品している農家が屋号を持っていないことの表れです。
屋号がなくても農業はやっていけるんです。


とはいえ。
スーパーに卸す、卸売業者へ売っていく、大手食品宅配会社と契約する。
このような場合は屋号はあったほうがいいと思います。
それは買い手側が生産者情報を公開したいと考えている場合があるからです。
愛知県豊田市で育てられた山田太郎さんの人参です。
よりも
愛知県豊田市で育てられたニコニコファームの人参です。
のほうがなんとなくイメージがよくありませんか?

よほど印象に残るような名前、近松門左衛門みたいな名前でない限りは、なにかしらの屋号をつけたほうがいいと思います。


また。
新規就農するときには意外と忘れがちですが、農業を始めるというのは新しく事業を立ち上げるということですので、地元の税務署に出向いて
開業届
を提出する必要があります。
そして、この開業届のなかに屋号を記入する欄があるんです。
事業スタートしてから1ヶ月以内が提出の目安だそうですので、なるべく早めに屋号を決めてしまって開業届提出のときには記入できるようにしておきたいものです。
もちろんあとから申告することも可能ですが。

 

屋号の付け方

屋号

そもそも屋号とはなにかというと。
ひとことで言ってしまえば店の名前です。
法人であれば会社の名前です。
世の中の販売業者、トヨタ、ソニー、楽天、マツモトキヨシ、モノタロウ、未来工業・・・
これらが屋号です。

基本的にはどんなネーミングでもかまいません。
商標登録されている名前や、トヨタやソニーのように世間的な大企業と間違えそうな名前などはダメだったりしますが、だいたい自由に名前をつけることができます。


極端な話をすれば、
米をおもに生産している農家だけど
ベジタブルキッチン
とかつけてもいいんです。
さくらんぼ農家が
日本物産
とかつけても全然かまいません。


とはいえ。
どんなネーミングでもかまわないと言いましたが、やはり付け方にはコツがあります。
これを外すと販売や信頼性に影響してきますので、押さえるべきところは押さえましょう。
要点は3つです。

 

1.わかりやすい、読みやすい

長く付き合っていくことになる屋号ですから、読みやすいことは非常に重要です。
というのも、どこかで誰かと会って話をするたびに、自分の屋号を口にする機会というのが非常に多いからです。
もし自分の農場の屋号を
きゃりーぱみゅぱみゅ農園
にしたらどうなると思いますか?
営業先で名刺を渡すときに、
「きゃりーぱみゅぱみゅ農園の●●です。よろしくお願いします。」
って言わなきゃいけないんですよ。
よほどカツゼツがよくないとスラスラと言えませんし、へたをするとちゃんと言えなかったりするわけです。
自分の屋号を噛むっていやですよね。

そして相手も困ります。
電話でお問い合わせをしてきたお客様が
「もしもし、きゃりーぱみゅぱみゅ農園様のお電話でよろしいでしょうか?」
から始めなきゃいけないとしたら、それはお客様にとって苦痛です。
読みやすいというのは非常に重要なんです。

そして。
発音もそうなんですが、表示についても読みやすいことは重要です。
ぱっと見て読み方が分からない、いくつかの読み方が考えられる
といったネーミングはそれだけでマイナスです。

最近。
子どもにつけられる名前が奇抜すぎることが問題になったりしています。
いわゆるキラキラネームと呼ばれている、あれです。
あなたは下記の名前が読めますか?

七音
姫奈
希星
愛羅
今鹿
琉絆空
匠音

このような漢字を並べて名前をつけられている子どもが、世の中にはたくさんいるんです。
ちなみに正解は次のようになっています。

七音(どれみ、おんぷ)
姫奈(ぴいな)
希星(きらら、きてぃ)
愛羅(てぃあら)
今鹿(なうしか)
琉絆空(るきあ)
匠音(しょーん)


私がオッサンだからなのかもしれませんが、こういう名前の付け方はまったく理解ができません。
子どもが成長して大人になったとき、きてぃ とか なうしか とか付けられたことに対してなんて思うんでしょうか?

まあ。
キラキラネームの是非はさておき、書かれている文字をなんて読んだらいいのか迷うというのはそれだけでお客様にストレスを与えてしまいます。
電話するのも躊躇します。
もしいくつか読み方が考えられる名前にしたいなら、必ず振り仮名をつけるなどの対策は必要でしょうね。


ちなみに。
飲食業界では、お洒落なんだけど読めないなぁ・・・という店名が多くありませんか?
店名が英語やフランス語で書かれていて読めないとか。
この店は何を食べられるんだろう?
と悩んだりするくらい、お店の看板だけを見てもなんの店なのか分からないことって意外と多いです。
あれはお客様を逃すマイナス要素になっている可能性もあるんですが、たぶん業界の空気として、おしゃれなネーミングをしたがる傾向があるんでしょうね。
私個人的には読めない・読みにくい店名はあまり好きではありません。
おしゃれな屋号をつけたい、という気持ちは分からなくもないんですが、まず一番に考えなければならないのは
屋号でお客様に何を伝えられるか
ではないでしょうか。
おしゃれなのは重要ですが、読みやすい・分かりやすいことはもっと重要です。

 

2.かぶってない

屋号は商標登録されていないかぎり、かぶってしまっても問題ありません。
近所に同じ名前ですでに営農している農家があるなら、それは喧嘩を売ることになるので同名を避けるべきですが、よほどのことがなければ屋号がかぶったからといって問題になることはないと思います。

ただし。
近年はインターネットが生活のなかに当たり前のように入り込んでいます。
インターネット検索をして、ネットで買い物をするのも当たり前になってきています。
もしあなたが鈴木農園という屋号をつけようと考えたとして。
インターネットで検索するとどうなりますか?
「鈴木農園」で検索

1.紅ほっぺ・あきひめ・かなみひめ いちご狩り・掛川市大渕 鈴木農園
2.遠州森町 鈴木農園 – とうもろこし(甘々娘・森の甘太郎)
3.鈴木農園 Organic farm+Delivery – Facebook
4.鈴木農園 – 掛川市 – 犬などの繁殖、交配、 販売、ポニーの販売
5.鈴木農園@SRT (@camtif) | Twitter ミニ四駆チーム、SRTの代表やってます
6.ヤママツ 鈴木農園 -浜松市のハーブと西洋野菜の通信販売-
7.鈴木農園 – 三島市 ふじ山の恵みで育ったミシマフルーツ
8.鈴木農園(SUZUKI FARM)【ジャンボなめこ・万能なめこ・たべごろなめこ …
9.みかんの産地直送販売 鈴木みかん農園
10.みかんの産地直送販売 鈴木農園

このように検索結果が出るんです。
日本中のいろんな鈴木農園が検索結果にずらりと表示されます。

お客様のなかには屋号そのものを検索キーワードとして打ち込んでくれる人がけっこういます。
知り合いから教えてもらってとか、このあいだ直売イベントのときにチラシをもらってとか。
屋号を目印にインターネット検索をしてくれる人がいるんです。
そんな人が、さきほどの検索結果に当たったらどうなりますか?
見つけたい鈴木農園はどこにあるの?
と探しきれなくてあきらめてしまう可能性が出てきてしまうんです。
これはもったいない。

こういう事態を避けるためにも、これという屋号が決まったときには一度、その名前でインターネット検索してみてください。
かぶっている屋号があるなら、避けたほうがいいかもしれませんよ。

 

3.業種がイメージできる

最初から世間的に認知されているのでない限り、業種をイメージできる言葉を入れたほうがいいと思います。
農園、農場、ファームなど。
こういった言葉を屋号に含めている農家はかなり多いと思いますが、これは農家であることがイメージしやすいからです。
もしかしたら。
ダサイから含めたくない、と考えている方もいらっしゃるでしょう。
それはそれでかまいません。
絶対つけなければならないというわけではありませんから。

いちおう大きな傾向として言えるのは。
世間的な認知度があるような大企業とか、お金をかけて広告を出している企業とか、そのような宣伝力があるような企業は、業種が分からないような名前であっても問題ないということです。
自動車部品メーカーの株式会社デンソーは、昔は日本電装株式会社でした。
自動車メーカーのホンダは、本田技研工業株式会社ですが世間的にはホンダのほうが親しみやすいのでこちらをよく表に出しています。

デンソーといえばあのデンソーね。
ホンダって車のメーカーでしょ。
というように世間的に認知されているからこそ業種が分からないようなネーミングでもOKなんです。

ですが小さな農家は、小さな事業体らしく屋号で業種がわかるネーミングにしたほうが無難だと思います。
まずは、とにかく知ってもらうことが重要だからです。

 

 

屋号はこれから自分がやろうとしている事業の顔です。
じっくりと時間をかけて、これだと思うものを頭からひねり出してください。
もしかすると一生付き合っていくことになるかもしれない名前ですから。

 

 

多品目栽培でこんな間違いをしていませんか?

たくさんの種類の野菜を同時に育てる、かんたんに表現すれば家庭菜園を大きくしたような農業。

このような、いわゆる多品目栽培は、有機農業ではよくやられている方法なのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
そして、多くの農家がやってるんだから自分にもできるだろうと、独学で、農家研修で、栽培の基本を学んでから実際に自分でやってみるのですが・・・
このときすでに、じつは大きな間違いをしています。

それは・・・

有機農業が慣行農業の5倍も儲かるって!?

有機農業者は、あまりお金の話をしたがりません。

「収入に魅力を感じて農業をしてるんじゃない。わずらわしい人間関係から解放されて、健康的な暮らしをしたいから有機農業の道を選んだんだ。」

と、収入は二の次だと言います。
だからこそ見えなくなっていた真実。それは、

有機農業はちゃんと稼げる

ということ。家族を養っていくことくらいは簡単に実現できます。しかも、栽培がうまいとかヘタとか関係ありません。誰でも実現できるものです。

ただし、条件があります。
それは・・・

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