たくさんの種類の野菜や米をこまごまと育てたり、鶏などの家畜を飼っていたりして、できたものを消費者のところへ直接お届けしている。
いわゆる多品目栽培で、産地直送。
産消提携型農業と言ったりもします。
こういうスタイルをとっているのは主に有機栽培農家です。

以前の記事で、多品目栽培ではリスクを分散しているという話をしました。
天候に依存している不安定な農業だからこそ、不測の事態を避けるための工夫が必要になってくる。
そのために多種類の作物を育てて抑えようという、天候不順などに対応することで被害を最小限に抑えようという試みです。

【2】有機農業の王道 多品目栽培にはメリットとデメリットがある

今回もリスク分散の話ですが、生産にかかわることではなく販売にかかわるリスク分散についてです。

 

販売先を複数持つのでリスクを分散できる

多品目販売農家はおもに、家庭向けもしくは飲食店に直接お届けしています。
一般家庭の食卓を支えるように、毎週もしくは隔週というペースで定期的に農産物詰め合わせボックスを配送する。
そういう契約をしています。
飲食店についても、毎回必要とする品目が違ったり量が違ったりしますが大抵は定期契約になっていることが多いようです。
さてここで。
家庭向けにしても飲食店向けにしても、一件当たりの販売金額はそれほど大きいものではありません。
2000円とか3000円とか、個人の飲食店でも10000円くらいのものです。
そういう小さな取引先をたくさん抱えて、一回で30個とか50個とか細かく発送していって売り上げを積み重ねていくのが、農産物ボックスを発送している農家の特徴です。
50個も箱をずらーっと並べて、細かく仕分けされ包装された野菜や果物を箱に詰めていく。
けっこう面倒です。
手間がかかります。
そんなの大口の取引先にドーンと発送したほうが楽じゃないか。
と思われますよね。
農協でも小売店でもいいですが、同じところへ●箱●kgまとめて発送すれば、一回の発送で●万円〜●十万円の売り上げになるじゃないか。
大口の取引先へまとめて発送したほうが梱包の手間がかからないし事務処理も楽だし、配送コストも安く済むじゃないかと。

そうなんです。
大口のお客様に対して、まとめて発送できたほうが出荷調整作業も発送事務作業もかんたんです。
ひとつの取引先に5万円分とか10万円分とかドカーンと発送してしまえば、いろんなことが簡単に済んでしまいます。
非常にラクなんです。
でも。
もしそことの取引が中止になったら・・・。
取引金額が大きければ大きいほど、その被害は計りしれません。
ほどよく販売先が分散していると、なにかあったときの被害を最小限に留めることができるんです。

 


レストランの店じまいは痛い

たとえば。
私が運営する松本自然農園の過去の経験でいうと。
松本自然農園はもともと家庭向けに野菜セットを発送している農家ですが、引き合いがいくつかあって飲食店にも発送をしています。
そのなかには毎週一万円以上購入していただいているレストランもありました。
その当時は経営規模がまだまだ小さく、毎週一万円以上買っていただくというのは売り上げ全体から見た割合としてはけっこう大きかったんです。

白黒会計

そのありがたいレストランが・・・廃業。
順調そうに見えたんですが、突然店をたたんでしまいました。

野菜というのはタネを播いてから収穫まで数ヶ月の期間を要する商品です。
毎週●件に発送するから、これだけの収穫量を確保するためにこれだけのタネを播く、というような計画を立てて栽培を進めていくんです。
そうやって計画栽培されていたところへ、大口の取引中止。
畑には行き先を失った野菜たちがたくさん残ってしまいました。

畑にはさばききれない商品、当然ですが売り上げもガクッと落ち込みます。
もともと取引先を分散していたので大きな被害にはなりませんでしたが、これが売り上げ全体の半分を占める取引先だったら・・・と想像するとゾッとします。
大口であればあるほど、このようなショックは大きくなっていくんです。

 


リスクに備えるか、利益や効率を追求するか

リスクと効率

取引先は、分散すればするほどリスクに備えることができます。
もちろん良い面ばかりではありません。
取引先を細かく分散すると、出荷作業に時間がかかるし顧客管理が難しいというデメリットもあることを覚えておく必要があります。
効率という観点でみれば、顧客分散なんてやるべきではないと思います。

でも。
世の中なにが起きるかわからないんです。
多くの企業がリーマンショックという外的要因によって大損害を受けたことは忘れられない衝撃です。
どんなことが降りかかってくるかわからない以上、リスクに備えることは当然の行為だと言えます。
ただしどこまで備えるかは、経営者の考え方次第。
ということですね。

 

次回はいよいよシリーズをまとめます。

【6】有機農業の王道 少量多品目&直販型定期宅配はビジネスモデルとして優秀なのか

おたのしみに。

 

 

栽培が下手でも時給3000円で働く農家になる方法とは?

もしかしたらあなたは、ひたすら栽培技術を磨こうとしていませんか?
いいものを作れば売れると思っていませんか?
その道は、優秀な先進農家と戦うことになる、かなり危険な道です。死に物狂いで努力しても結果を残せないかもしれない道です。

それよりも、たとえ栽培が下手でも時給3000円、しかも週休3日で働く農家になる道があります。見つけさせすれば誰でも通れる道です。

そんな道どこにあるの?じつは・・・

つづきはこちら

有機栽培農家・松本がやってしまった間違いとは?

農業をやりたいと考えたときに最も重要なことは

栽培技術の習得

であることは間違いありません。商品ができなければ何も始まりませんから。
ちゃんと作物を栽培できて、ある程度のレベルの農作物を自分で作れるようにならなければ、当たり前ですが買ってくれるお客様はいないわけです。
だから栽培技術を身につけることは最低限やらなければならないはずです。

じゃあここで、あなたが、農業のなかでも難しいとされる無農薬栽培に挑戦しようと考えていたら・・・。自分の育てたものを消費者に直接お届けしたいと考えていたら・・・。

それはほとんどの場合。
有機農業では王道とされる、野菜セット農家になるということです。
たくさんの種類の野菜や果物、米などを育てて、それを詰め合わせボックスという形でお客様へお届けする。
そういう農家です。

当サイトの管理者・松本は、この野菜セット農家になるときに大きな間違いをしてしまいました。

それは・・・

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