レタス畑
農業者は芸術家である。
と誰かが言ったかどうかは知りませんが、少なくとも私は芸術家だろうと思っています。
土壌条件も気候も毎年違うなかで成果物をつくりあげていく作業はまさに芸術の域。
同じものを作っても100人いれば100通りの作品が出来上がるのが農業であり、畑の様子をみても100通りの景観があるのだからおもしろい。

命を創造するという芸術的要素を持っているのが農業という仕事です。

そして同時に、農業者は職人でもあります。
他が真似できないような圧倒的な栽培技術、自己の成果物に対するこだわり・執念、そして自分自身に対する絶対的な自信。
これらの資質を備えている農業者は職人と呼ぶにふさわしいと思います。
 「奇跡のりんご」で有名な木村秋則氏などは職人の典型でしょう。

芸術家であり職人でもある農業者。
素晴らしいとは思いますが、こういった職人肌の農業者では生きていけない時代になってきました。
高度経済成長期やバブル期など、右肩上がりに成長していた時代はどんなものを作っても売れていたので問題ありませんでした。
ですがその後、停滞期・後退期になりモノが売れない時代に突入してしまったことで、職人が住みにくい時代になりました。
厳密にはモノが売れないというよりは本物と安物しか売れない、需要の二極化が進んでいる時代なんでしょうけど、イイモノだから必ず売れるという時代でなくなったのは確かです。

そんな時代に農業で職人を目指すことには、かなりの危険を伴います。
こだわって、こだわって、こだわりぬいて出来上がった農産物がたとえ文句のつけようがない素晴らしいものであったとしても、それを欲しい人がいなければ全く無意味だからです。
作った商品が売れなければ、いくらいいものを作っていてもそれは趣味です。
商品が売れて利益を上げて、生業として成立してこその農業ですから。
職人的なこだわり商品は、売れてこそ評価されるものです。
売れなければただの趣味。
何度でも言います。
売れなければただの趣味です。
趣味の農業は、農業ではなく"農"。
しっかりと利益を上げて頑張っている農業者と同列に語れるものではありません。


ということで。
今の時代は、農業者は職人であると同時に、経営者としての資質が求められます。
完ぺき主義とも思えるような職人気質はもちろん大切ですが、商売としてやっていくならお金に換えてこその農産物ではないでしょうか。
手塩にかけて育てた農産物を自信を持って世に送り出し、こだわりに見合った対価を受け取る。
それでこそ農業、経営が欠けていたら単なる趣味です。
今の農業界に最も足りないのが、おそらくこれだと思います。

 

いいものは売れる幻想

さてここで。
職人気質の農業者が抱えている根本的な間違いについて詳しくみていきます。
一応断っておきますが、私は職人気質を否定しているわけではありません。
ちょっとひがみはあると思いますが・・・。
職人気質はとても素晴らしいものですが、それだけでは世間様が認めてくれませんよという話をしているだけです。
ご理解ください。

職人気質の農業者は、
いいものは売れる!
と信じています。
信じているからこそ、もっといいものを作りたいと努力します。
その結果、さらに高品質な農産物が出来上がるかもしれません。
でも売れません。
もっといいものを、もっといいものを。
いつまで経っても、どこまで行っても売れません。

欠けているのは、
誰にとっていいものなのか
という最も初歩的で最も肝心な部分です。
日本一売れているものが日本一いいものではないですよね?
マクドナルドは日本一おいしいハンバーガーを作っている会社ですか?
スターバックスは日本一おいしいコーヒーを提供しているお店ですか?
違いますよね。
その価値を認めてくれる人が多いから、日本一売れているんです。
その価格でそのクオリティを提供するから、日本一売れるんです。

そして。
マクドナルドのハンバーガーを買っている人にとっては、その商品はいいものなんです。スタバのコーヒーを飲んでいる人にとっては、そのコーヒーは美味しいんです。
誰に食べてほしい商品なのかを、ちゃんと分かった上で商品をつくっています。
だから売れるんです。

別の例としてクルマを考えてみます。
スポーツカー
走り
操作性
スタイリング
スポーツカーはこういった希望を叶えるための価値を持っています。
燃費
価格
小回り性能
軽自動車はこういう需要に応えるだけの価値を備えています。

走りを追求したい、見た目がカッコイイ車に乗りたいと思っている人にとっては、軽自動車はまったく魅力のない車ですが、燃費が良くて本体価格が安くて、日常の足として使いやすい車を求めている人にとっては、軽自動車はたいへん素晴らしい車なんです。
逆に、燃費が良くて本体価格が安くて、日常の足として使いやすい車を求めている人にスポーツカーを勧めてもまったく興味をもってもらえませんし、走りを追求したい、見た目がカッコイイ車に乗りたいと思っている人に軽自動車を勧めても相手にされません。
つまり。
スポーツカーと軽自動車では求められる価値が違うんです。
人によってイイものは違うんです。


いいものとは、誰にとっていいものなのか。
職人的農業をやりたいのであれば、ここをしっかりと考えてみてください。
いいものをつくりたいと思うのは素晴らしいことですので、そこに経営的なエッセンスをプラスしてみてください。


平均点という落とし穴

ただし。
ひとつ注意点があります。
世の中の商品のほとんどに言えることですが、
平均点を越えると商品の差はあまりない
と思ってください。
職人気質を発揮して100点を追求していくのはかまいません。
楽しいと思います。
でも、その農産物全体の平均点が80点くらいだとしたら。
80点と100点の違いがわかる人はそれほど多くないということ、100点の農産物を求めている人はそれほど多くないということを理解しておいてください。
80点でもじゅうぶんに満足できるレベルですから。

平均点が50点であれば、まだまだ上を目指せるし差別化も図りやすいです。
でも日本の農産物の品質レベルは決して低くありません。
超がんばって90点とったとしても、それは平均80点よりちょっと高いに過ぎないことを頭に入れておく必要があります。


そして。
80点のキャベツが200円で売れるとして、100点のキャベツが1,000円で売れるかというとおそらくそれは無理です。
80点から100点へレベルアップするために相当な努力を重ねていたとしても、それが金額で正当に評価されることはほとんどありません。

もちろん。
なかには100点の農産物を高い価格で売っている人もいます。
新潟県十日町市で日本一高い米を売っている戸邊さんという農家がいます。
トラクターや田植え機などの機械を一切使わずに、手作業だけで稲を育てておられます。
農薬も肥料も使わず天日干しされています。
ここで採れたお米は、なんと3万円/10kg(変動あり)で売られているそうです。
スーパーなどで米を買えば10kgで3000円とか4000円とか、そのくらいですよ。
10倍って・・・。


これはすごい!
僕もやってみようかな、と安易に思わないでください。
ただいいものを作ったから売れたわけではないんですよ。
無機械・完全手作業という価値を認めてくれる人に対して、その品質なら買ってもいいと思ってくれる人に対して、労働に見合う商品価格を設定して売っている。
ブランドイメージをメディアも活用してうまく作っている。
そういう努力があるから売れているんです。
そして。
その米を買った人にとっては求めているもの、欲しいものだから100点の商品なんです。
無機械・完全手作業で育てられた米に興味がない人にとっては、たんなる高すぎる米でしかありません。

結局のところ。
売れるかどうかは価値を認めてもらえるかどうか、に尽きます。
求められるものを提供できるかどうか、にかかっています。

いいものを作りたいのであれば、同時にその価値を認めてくれる人を探さなければ、趣味の農業で終わってしまいますよ。

 

 

栽培が下手でも時給3000円で働く農家になる方法とは?

もしかしたらあなたは、ひたすら栽培技術を磨こうとしていませんか?
いいものを作れば売れると思っていませんか?
その道は、優秀な先進農家と戦うことになる、かなり危険な道です。死に物狂いで努力しても結果を残せないかもしれない道です。

それよりも、たとえ栽培が下手でも時給3000円、しかも週休3日で働く農家になる道があります。見つけさせすれば誰でも通れる道です。

そんな道どこにあるの?じつは・・・

つづきはこちら

有機栽培農家・松本がやってしまった間違いとは?

農業をやりたいと考えたときに最も重要なことは

栽培技術の習得

であることは間違いありません。商品ができなければ何も始まりませんから。
ちゃんと作物を栽培できて、ある程度のレベルの農作物を自分で作れるようにならなければ、当たり前ですが買ってくれるお客様はいないわけです。
だから栽培技術を身につけることは最低限やらなければならないはずです。

じゃあここで、あなたが、農業のなかでも難しいとされる無農薬栽培に挑戦しようと考えていたら・・・。自分の育てたものを消費者に直接お届けしたいと考えていたら・・・。

それはほとんどの場合。
有機農業では王道とされる、野菜セット農家になるということです。
たくさんの種類の野菜や果物、米などを育てて、それを詰め合わせボックスという形でお客様へお届けする。
そういう農家です。

当サイトの管理者・松本は、この野菜セット農家になるときに大きな間違いをしてしまいました。

それは・・・

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