新規就農希望者の3割が希望している有機農業。
新規就農規模者の9割が興味を持っている有機農業。
そんな有機農業に対する誤解はいくつかありますが、そのなかのひとつに
虫食いの野菜(農産物)は美味しい
野菜(農産物)が虫に食われるということは健康に育っている証拠だ

というものがあります。

こんなにも生産者と消費者との認識がずれている問題はほかにないんじゃないか、というくらいの大きな誤解です。
これから就農しようということは、おそらく現在は消費者の立場にいるはずですが、虫食いの農産物が美味しいなどという間違った認識をもったまま生産者側に回るのは非常に危険です。
結論をいえば
健康に育った農産物には虫がつきにくい。
ということなんですが、これは世間的に知られている認識とは正反対です。
この誤解は、いくつかの誤解や認識不足が積み重なって生まれている大きな誤解ですので、ひとつひとつ紐解いていきます。
最後までご覧いただければ、おそらく虫食い農産物に対する見方が変わるはずです。
そして、有機農業をやろうと考えているのであれば。
この誤解を解かなければ有機農業を始めるスタートラインに立つことができません。
ぜひ最後までご覧ください。

 

弱肉強食の世界に生きる農産物たち

弱肉強食
まずは。
人間を含めた動物で考えてみます。
動物は子どもを産みます。
その子を大切に育てます。
そうすることで次世代へ命をつないでいきます。
ほとんど本能として、命を繋ぐために生きています。

その動物は、体をかじられたり傷つけられたりしてもいいとは思っていません。
できることなら五体満足で生きていきたいと思っています。
健康なまま次の世代へ命をつないでいきたいと思っています。
でも。
自然界は弱肉強食の世界です。
いくら命を生み育てたいと思っていても、自分自身が弱ければ強いものにやられてしまいます。
強いものが生き残る仕組みができています。
人間はその自然界の仕組みから少しはずれてしまっている生き物ですが、社会の中で生きていても弱肉強食を感じる場面はいくつもありますよね。

このことは、この仕組みは、植物の世界においても同じです。
植物の気持ちになってみてください。
農産物の気持ちになってみてください。
たとえば野菜は。
水分、温度、光などの条件が整ったところでタネから根を出して発芽します。
双葉を広げ、本葉を広げ、樹を茂らせながら大きくなり。
やがて花を咲かせて実をつけます。
その実に宿った新しい命が、ふたたび地面に落ちて生長していく、命をつないでいくことを望んでいるはずです。
そんななかで、葉を虫にかじられてもいいと思っている野菜がどれだけいるでしょうか。
光合成をして栄養を作りだすために欠かせない大切な葉を、虫にかじられて平気な野菜がどれだけいるでしょうか。
おそらくいません。
すべての野菜は、葉を虫に食べられていいとは思っていません。
強く生きて、子孫に命をつなげたいと思っているはずです。

じゃあここで。
生き残っていくのはどんな野菜でしょうか。
たとえばキャベツならキャベツのなかで、虫に食われないで生き残っていくのはどんな個体でしょうか。
キャベツ畑
その答えは、強い個体
強く元気に健康的に生きているキャベツは、虫に食べられることはありません。
たくましく育っているものは、虫に食べられません。
健全に賢く生きている人が怪しい宗教や勧誘に引っかかったりしないのと同じで、健康的に生きている人が病気になりにくいのと同じで、強く健康に育っているキャベツには虫がつかないし病気にもかからないんです。

そして。
健康的に育った虫食いのないキャベツは、美味しい。
と言えます。
これは断言できます。
健康的=美味しい
に疑問を持つ人もいるかもしれませんが、健康に育ったときの味を求めて品種は改良されるんだから、健康的であることは求めているキャベツ本来の味になるということです。
健康に育っているけど美味しくない、というのは品種改良の問題であって虫食いとは関係ありません。


ここまでをまとめると。
野菜が虫に食べられるということは、自然淘汰されるべき弱い育ち方をしているからだと言えます。
健康に育っていないから虫に葉を食べられるし病気にもなる。
健康であれば虫に食べられないし病気にもならない。
ということです。

 

野菜を守るという行為

ではここで。
虫食いがなく見た目にきれいならどんなものでも美味しいのか。
というとそれは違います。
なぜかというと、農薬を使って虫がつかないようにブロックしてあげると見た目がきれいな野菜は出来てしまうからです。
本来なら虫が付いてしまうかもしれない弱い状態の個体を、薬によって守ってあげることで虫の被害が出ないように見せることができます。
防虫ネット
また、防虫ネットと言われるような網をかぶせて物理的に虫が寄ってこないようにブロックすることで弱い個体を守ってやるという手段は、有機農業においても広く使われています。
なにで野菜を守っているのかという違いはありますが、農薬や防虫ネット等の助けによって育てられた見た目にきれいな野菜は、必ずしも健康的に育っているとは言えないんです。

本当に健康的に育てられた美味しい野菜を作りたいと思うのであれば、農薬はもちろん防虫ネット等の物理的に虫をブロックするような資材すら使わないでがんばってみるといいでしょう。

ただし。
そのような農家は本当に少ないです。
相当な栽培技術レベルを持っていないと本当の意味での健康野菜を育てることはできません。
また、本当の旬を厳密に守って育てなければならないので、お届けできる野菜の種類や期間は少なくなってしまうはずです。
それでも本物の野菜を育てたいと思うのであれば、栽培技術を磨いていってください。
ちなみに私はそんなレベルには達していません、残念ながら。

 

別視点での農薬や防虫ネット必要論

ところで。
農薬や防虫ネットを使って野菜を守ってあげることは、健康的に育てるのとは別の視点でみるとどうしても必要なことなんだということが分かります。
ひとつは、野菜は雑草と違うという視点。
    詳しくはarrow070_01無農薬栽培の重要ポイント 野菜を詳しく知る
自然界の植物としてみれば、野菜は半自然な生き物で人間との共存を選んできた植物です。
人間が守ってあげることを前提にして、今の野菜としての姿を維持しているんです。
だから、野菜を健康に育てるという点とは別に、最低限の手助けとして農薬や防虫ネットがあることは悪いことではありません。
野菜を健康に育てる努力をする一方で、自然淘汰されて当然の野菜という植物を人間が守ってあげる。
そういう関わり方が必要になります。

もうひとつは、子どもは個体として弱いという視点。
動物の場合。
子どもが生まれてからしばらくの間、自立して生きていけるようになるまでは親が子どもの面倒を見ます。
それは子どもが独りでは自然界で生きていけないから守ってあげるんですよね。
野菜についても同じで、タネを播いて双葉が出て間もないような段階は、虫にとっては柔らかくて食べやすい格好の餌食になってしまいます。
放っておけば食べられて当然の状態です。
農業という生産現場では、自然に任せて100個のタネを播いたけど10個しか収穫できなかった、という事態は避けたいですから、小さな子どもで食べられるのが当たり前のときには守ってあげるのは必要な処置でしょう。

 

結果がすべて 努力はいつか報われる

ということで。
農産物を健康に育てることは美味しさにつながる。
健康に育った農産物には虫がつかない。
と言えます。
ただし、農薬や防虫ネットで物理的に守ってあげることは、健康かどうかを見失うことになりかねない、という懸念はあります。
が、弱い子ども時代は守ってあげるべきだし、農産物は人間と共存することを選んだ植物だからある程度は守ってあげるべきだと思います。

これらのことは、生産者である農家はけっこう知っています。
とくに勉強熱心な有機農家であれば当たり前のように知っています。
知っていて、健康に育てたいと思っていても、それでもやっぱり虫食いの農産物が出来てしまうんです。
難しいんです、無農薬で育てることが。

植物として淘汰されるべきで存在でありながら、そのなかでも健康に育ててなるべく虫に食べられないようにする。
難しいんだけど農薬を使わないでなんとか農産物を育てたいと思ってがんばっています。
結果として美味しい農産物が出来上がってほしい。
農家はそんな努力を続けています。
でも。
努力を評価される必要はありませんし、結果としての農産物が美味しいことだけが評価されるべきところです。
がんばって育てたという過程は関係ないんです。
美味しい農産物ができたという結果がすべて。

虫食い野菜は美味しいよ、なんていう売り文句で有機野菜を売っていくことだけはやめましょう。
虫食い農産物をありがたがる人たちには「その考え方は違う!」とはっきり言いましょう。
そして、胸を張って堂々と有機農業のスタートラインに立ちましょう。

 

 

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有機栽培農家・松本がやってしまった間違いとは?

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だから栽培技術を身につけることは最低限やらなければならないはずです。

じゃあここで、あなたが、農業のなかでも難しいとされる無農薬栽培に挑戦しようと考えていたら・・・。自分の育てたものを消費者に直接お届けしたいと考えていたら・・・。

それはほとんどの場合。
有機農業では王道とされる、野菜セット農家になるということです。
たくさんの種類の野菜や果物、米などを育てて、それを詰め合わせボックスという形でお客様へお届けする。
そういう農家です。

当サイトの管理者・松本は、この野菜セット農家になるときに大きな間違いをしてしまいました。

それは・・・

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