全国農業会議所のアンケート調査によると、新規就農希望者の約3割は有機農業をやりたいと答えています。
また、約9割が有機農業に興味があると回答しています。
世の中に流れている有機農業を推す空気、有機農産物がもっているブランドとしての価値、メディアの称賛具合などをみるかぎりでは、農業をやりたいと考えている人の多くが有機農業に興味をもつのも分かる気がします。

農薬は危険だと否定され、有機農業を広めていくことが日本の農業にとって好ましいことだといった風潮。
価格面で折り合いがつくなら有機農産物を購入したいと考えている消費者がたくさんいるという事実。

ふつうの感覚であれば、農業をやりたいと思ったときに有機農業の道へ進もうとするのはある意味では自然な流れのように感じます。


でも実際はどうなんでしょうか。
時流に乗って有機農業で新規就農することは正解なんでしょうか。
有機農業の道を進むことが、農業経営という面で有利になるのでしょうか。

有機農業というものの価値を詳しくみていきながら、新規就農を希望する人にとって有機農業という選択はアリなのかナシなのか。
検証していきます。

 

有機農業は環境に優しい農業?

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農薬や化学肥料を使った農業では環境を破壊してしまっている。
という批判が流されることがあります。
農薬の使用によって農地の生き物が減り、周辺の自然環境にも影響を与えている。
化学肥料の使用によって河川が汚され、海が汚される。
そんな情報を目にしたことはないでしょうか。

たしかに、過去にそういった事実はあったのかもしれません。
農薬の使用が環境破壊を引き起こしてしまっている。
化学肥料の多投によって水質汚染が問題になる。
メディアからの情報を得た方も多いと思います。

でも。
以前の記事でも言っているように技術は進歩します。

農薬否定から抜け出そう 技術は進歩する

今日の日本においては、適正に使用されるかぎり自然環境に大きく影響を及ぼすような作用を持つ農薬は登録されていないとみてよいと思います。
もちろん基準をどこに置くかによって差はあるので、今でも農薬は危険だと主張される方はいますが。

化学肥料についても同じようなことが言えます。
窒素肥料から流れ出る硝酸態窒素が、地下水を汚染して水道水の水質に影響を与えるようになっている。
といった話。
たしかにそういう側面はありますが、これは化学肥料そのものが悪いのではなく肥料を過剰に施肥していることが原因なので、適切な施肥設計をして肥料の流亡をおさえればいいという話で落ち着きます。
しかも。
有機肥料であっても多投すれば水質汚染につながります。
化学肥料だから悪いというわけではないんです。

 

何が言いたいかというと。
現在主流の慣行農業であっても、環境に対する負荷は小さくなっています。
有機農業は農薬を使わないから慣行農業よりも環境に優しいとか、化学肥料よりも有機肥料のほうが肥料の流亡は少ないから環境負荷は小さいとか、そのような意見はもちろんありますが、それはどんぐりの背比べにすぎません。
慣行農業だから、有機農業だから、というのはたいした差ではありません。

 

そもそも。
大地を切り開いて農地をつくり、そこで農耕をすること自体が環境に対する負荷になります。
農業そのものが地球に対する環境破壊なんです。
だから、生産性で劣る有機農業はそれだけで負荷が大きいと言えます。
同じ収穫量を得るために広い面積が必要ですから。

というわけで。
環境面で有機農業の優位性をみたときには、おそらくほとんど優位性はないというのが私の個人的な意見です。

 

有機農産物の安全性は?

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農作物の安全性についても賛否があります。
農作物においての安全性というと、そのほとんどは農薬を指すことが多いんですがあまりにも農薬が悪者扱いされすぎていて、危険性ばかりがクローズアップされているような印象が強いです。
科学的にみれば農薬の安全性については保障されていますし、農薬の危険性を煽りたてるメディアの偏見に満ちた情報操作を鵜呑みにするべきではありません。
テレビや新聞で「有機農産物は美味しくて安全」という記事があったとしても、その情報が正しいとは限らないんです。

そりゃあ農薬をかけたものとかけていないものを比べれば、もちろんかけていないほうが安全だと言えるでしょうけど、虫に葉を食われた植物が体内に似農薬物質を作り出すという性質があることを考えれば、農薬をかけないことが100%正しいとは言いきれません。

農薬が安全であるかどうか、育てられた農作物を口にしたその人にとって危険性があるかどうか。
それは個々の判断にゆだねられます。
国が定めた農薬についての基準があって、それに従っていれば●十万分の▲くらいには影響が出るかもしれません。
絶対安全はあり得ない、という認識がスタート地点ですから万人すべてにとって安全なものはないという認識が必要です。
ここで。
自分自身が●十万分の▲に該当して農薬の影響を受けてしまうのかを考えてみる。
そもそも国自体を信頼していないんだから国の基準なんて意味がない、という心の内について考えてみる。

自分で考えて判断して、それで農薬は危険だと感じるのであればそれは正解でしょうし、農薬は安全なんだと感じるのであればその考えもまた正解だろうと思います。

 

これは農薬に限った話ではありません。
食品添加物が安全なのか危険なのか、そこに基準値はありますが最終的には個々の判断に委ねられます。
ガンの三大療法(手術療法、化学(薬物)療法、放射線療法)に効果があるのかないのか、結果は出ていてもちろん100%効果があると言い切れる数字ではありませんから、その治療をするのかどうかは最終的には個々の判断に委ねられます。
ラーメンは日本のソウルフードと言えるくらいになって多くの人に愛されている食べ物ですが、そのスープはかなりの塩分量であるため健康を害する可能性が高いです。
スープを飲むことが危険なのかどうか、それは個々の判断に委ねられます。

これをやったから即危険、という分かりやすいものはもちろん改善されてきていますが、因果関係がはっきりしないものも多く安全・危険という判断は長期的に見なければいけないのでとらえ方によって判断が分かれてしまいます。

 

それくらい安全性は緩さのあるものですし、最終的には心の問題になってくるものだと思います。
だから有機農業が安全性で優位、だと言い切ることができません。
今現在は農薬が危険だとする主張が強いので、有機農業は安全性の高い農業だと思われていますが、それは農薬危険論の声が強いというだけで
慣行農業 < 有機農業
と言えるわけではありません。


世の中の空気がなんとなく有機安全論に傾いていますが、それはあくまでも世論であって真実ではありません。
私自身の意見としては、有機農業で安全性をウリにするのはどうだろう??といったところでしょうか。

 

有機農産物の商品としての価値は?

食べて安全、環境にも優しい有機農業。
そんなイメージが定着している日本の社会ですが、私はそこに優位性を感じることができません。
あくまでも私の意見ですので、優位性を感じるのであればそれを多いに活かしてもらえればいいですし、どんどんそれをウリにしていってもらればいいと思います。
ただしそこに懐疑的な意見があることを忘れないでほしいです。


では。
安全性にも環境にも優位性がないとしたら、有機農業にはいったい何を拠り所にしてやっていけばいいのでしょうか。
食の安全に貢献したいと考えて有機農業を選ぶ。
地球の未来を明るくしたいから有機農業を選ぶ。
その選択肢がないとしたら、有機農業を選ぶ理由ってなにかあるのでしょうか。

どこに魅力を見出すのかは自由ですし、いくつか挙げることはできると思います。
そのなかでも現状の有機農業の立ち位置から優位だと言えるのは
ブランド力がある
ということではないでしょうか。

農薬や化学肥料を使った一般的な農業が供給のほとんどを占めていて、農薬や化学肥料を使わない農業は全体の中のほんの一握りしかない。
実際にはシェア1%にも届きません。
それだけの限られた供給量にもかかわらず、メディアの好意的な後押しもあって有機農産物に対する需要はそれなりに大きいです。
つまり需要があるのに供給が足りていない。
現状では有機農業をするというだけで、それが付加価値になり、商品を売りやすくなるというメリットがあります。


ただし。
これは少数であることが大前提です。
有機農業のシェアが増えていって、それなりの供給量を持つようになったときに、需要と供給のバランスが崩れていれば有機農業のブランド価値や優位性は薄くなってしまうと思います。
あくまでも希少性があることが最低条件です。

 

商魂たくましいくらいが丁度いい

環境に優しいイメージに刺激されたり、食べて美味しいという評価に流されて、無農薬で栽培することに憧れて新規就農を検討する方は多いと思います。
趣味として栽培を楽しむならそれでいいんですが、農業というのは営利活動です。
商売です。
商売として考えて自分や家族の生活を守っていこうとするなら、作ったものを売りやすいことは非常に重要です。
その点は有機農業が非常に有利。
自分で一から価値を創造していかなくても、最初からプラスに作用するブランドイメージに乗っかれますから。
有機農産物を作った時点で、ある程度のブランド価値を持った商品になります。
でも。
有機農業が持っている環境に優しくて美味しいというイメージをうまく利用して、商売を意識しながら農業経営をしていくくらいの商魂がないと、昔ながらの古い有機農業を引きずっている
周回遅れの農家
と言われたりするので注意してください。

有機農業をすることに優位性はないけど世間的なイメージを利用して優位性を作りだす。
というくらいの腹黒さを持ってもいいんじゃないでしょうか。

 

 

 

栽培が下手でも時給3000円で働く農家になる方法とは?

もしかしたらあなたは、ひたすら栽培技術を磨こうとしていませんか?
いいものを作れば売れると思っていませんか?
その道は、優秀な先進農家と戦うことになる、かなり危険な道です。死に物狂いで努力しても結果を残せないかもしれない道です。

それよりも、たとえ栽培が下手でも時給3000円、しかも週休3日で働く農家になる道があります。見つけさせすれば誰でも通れる道です。

そんな道どこにあるの?じつは・・・

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有機栽培農家・松本がやってしまった間違いとは?

農業をやりたいと考えたときに最も重要なことは

栽培技術の習得

であることは間違いありません。商品ができなければ何も始まりませんから。
ちゃんと作物を栽培できて、ある程度のレベルの農作物を自分で作れるようにならなければ、当たり前ですが買ってくれるお客様はいないわけです。
だから栽培技術を身につけることは最低限やらなければならないはずです。

じゃあここで、あなたが、農業のなかでも難しいとされる無農薬栽培に挑戦しようと考えていたら・・・。自分の育てたものを消費者に直接お届けしたいと考えていたら・・・。

それはほとんどの場合。
有機農業では王道とされる、野菜セット農家になるということです。
たくさんの種類の野菜や果物、米などを育てて、それを詰め合わせボックスという形でお客様へお届けする。
そういう農家です。

当サイトの管理者・松本は、この野菜セット農家になるときに大きな間違いをしてしまいました。

それは・・・

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